認知症 予防
認知症の予防
アルツハイマー病は、一度発症すると進行を止めることはなかなか難しいやっかいな病です。
しかし、アルツハイマー病というのは、ある日突然発症するものではありません。
必ず、加齢と共に脳に小さな変化が起こり少しずつ進行し、かなり進んだところで初めて症状が出て発覚するのです。
従って、これを予防することが重要になります。
最近、医学界で注目されているのは、このようなはっきりした症状が出てしまう一歩手前の状態です。
これを「軽度認知障害(MCI)」と呼び、この病名の周知を図っています。
このような認知症の予備軍の段階でアルツハイマー病に気づき、早めに対策をとることで発症を予防し、進行を遅らせることが最近考えられているのです。
特に、高齢の方は認知力に関して何かおかしいと思ったら、早めに医師の診察を受けることを心掛けましょう。
アルツハイマー病の原因は、現在、様々な研究機関で調査されています。
なかには、自助努力で予防策を講じることができるものもあります。
また、一般的に適度の運動や休養をとること、喫煙を避けるなど、生活習慣の改善は多くの人にとってアルツハイマー病の予防効果があります。
食生活についていえば、脳を活性化し認知機能を改善するといわれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を含む魚類を食べることがオススメです。
特にサンマ、サバ、イワシなどの青魚には、EPAやDHAが多く含まれるので強く推奨されています。
原因別の予防
認知症予防には、原因を打ち消す積極的予防と原因そのものを避ける消極的予防とがあります。
しかし、最も重要なのは認知症の発症の危険因子を減らすこと、つまり消極的予防であるといってよいでしょう。
認知症の原因の8割前後は、アルツハイマー病と脳血管障害です。
したがって、これら二つの疾患を発症させないようにすること重要になってきます。
アルツハイマー型認知症は、認知症原因の第1位です。
発症のリスクを高める危険因子は、遺伝的なものと環境によるものがあります。
遺伝によるアルツハイマーであれば予防は難しいとおもわれがちですが、環境による影響の方が発症に大きく関与していると考えられているため、本人の努力しだいで防ぐことが可能だといわれています。
リスクを減らすには、十分な魚・野菜果物を取りバランスのよい食生活を心掛けることが役立ちます。
また、ワインに含まれるポリフェノールが関係していることも分かっています。
魚に含まれるEPAやDHAが十分な場合、摂取が不十分な人に比べてリスクが5分の1になるともいわれています。
脳血管性認知症は、脳の血管障害によって引き起こされたものです。
具体的には、脳梗塞、血栓症、脳塞栓症、脳出血、くも膜下出血などの病名で知られていますが、これらは日本人の死亡原因としても上位を占める大変危険な疾患です。
したがって、なによりも予防が大事なのですが、リスクを高めるものとして運動不足、肥満、塩分過多、飲酒、喫煙、糖尿病、高血圧症、高脂血症などが挙げられます。
以上のものを避ける努力が必要になってきます。
認知症と生活習慣
認知症の予防方法はさまざまですが、食生活を含む、生活習慣の改善は大変効果があります。
生活習慣の改善は、認知症の主な症状であるアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の両方のリスクを下げる効果があるからです。
食生活についていえば、常識的な話になりますが、バランスの取れた食事が不可欠です。
特に野菜や果物の摂取量が多いと認知症のリスクが3分の1程度に減少するといった研究もあり、見逃せません。
これらの効果は、野菜や果物に含まれるビタミンEやビタミンCおよびベーターカロテンが、良い働きをしているためと考えられています。
また、ワインを週1回以上飲む人は、飲まない人に比べて認知症の発症危険度が約半分になっているという報告もあります。
これは、赤ワインに含まれているポリフェノールが関係していると推測されています。
適度な運動も認知症の予防効果があります。
ただし、やみくもに運動すればいいというわけではなく、運動のなかでも有酸素運動を行い、その強度と頻度にも注意する必要があります。
普段の歩行より少し早い程度のウォーキングを週に3回以上が理想といわれ、その場合、運動をしていない人に比べて認知症のリスクは半分程度に減るといわれています。
これは、有酸素運動をすることで脳の血流が増え、血圧やコレステロールのレベルを下げる効果があるからだと考えられています。
そのほか、普段から知的な作業をしておくことも認知症予防には効果的です。
また、アルツハイマー症の場合は特に、人との関わりが重要といわれているので、普段から色々な人とコミュニケーションをとっておくことが必要になってきます。
認知症に似ているもの
認知症の予防には、まずは、認知症を早めに気づくことが重要になってきます。
しかし、認知症と似た症状を示すほかの疾病もあるので注意が必要です。
一言に認知症といっても、原因となる疾病はたくさんあります。
さらに、その症状も様々です。
このように色々な形として現われる認知症と特に混同しやすいのは「加齢」「うつ病」「せん妄」です。
これらの予防と治療には、適切な診断が必要不可欠なので、その違いをよく確認しておきましょう。
記憶障害が単なる加齢によるものもあります。
単なる加齢による記憶障害の場合は、人の名前が思い出せなかったり、ど忘れをしたりしますが、軽い記憶障害があるだけで、症状の悪化・進行も認知症と比べて遅いといえます。
また、認知症の場合には発生する、時間や場所などが分からなくなることがありません。
「うつ病」の場合は、通常、記憶障害がありません。
しかし、不安な気持ちや焦燥感、不眠や倦怠感がでるのは共通しているので、認知症と間違えやすいのです。
しかし、うつ病の場合は、抑うつ状態が持続し、気分の落ち込みが強く、自殺願望と伴う場合があるので区別は可能です。
ただし、両方を併発している場合もあるので注意が必要です。
「せん妄」と呼ばれる心の病があります。
認知症でも妄想がともなう場合がありますが、せん妄の場合はハッキリとした幻視(視覚的なまぼろし)が見えます。
これらの違いに注意して、認知症を予防してください。
