認知症 症状
認知症の進行
認知症の経過は、個人差があり人によってさまざまですが、「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」など、認知症の原因でその経過や進行の様子はかわってきます。
アルツハイマー型認知症の場合、その大きな特徴は軽い症状から出発してゆっくりと時間をかけて進行していくことだといえます。
最初は軽い記憶の低下から始まり、だんだんと日常生活に支障をきたすほどになってきます。
軽度の状態のときは、日常生活のなかでの小さな失敗が目立つようになります。
家事をしている女性の場合には、鍋を焦がしたり、料理の手順が悪くなり、また、買い物のときも同じものを余計に買ってきてしまうなどの失敗が増えます。
男性は仕事上のミスが増え、能率が悪くなったりすることがよくあります。
中度に進むと、時間や場所の感覚が不明瞭になったり、道に迷ったり、そのときの状況に合わせた適切な行動が取りにくくなります。
いわゆる高度な知的判断が苦手となり、だんだんと一人で自信を持ってやれることが少なくなってきます。
さらに症状が進行すると、日常生活が困難になり介助を必要とするようになります。
親しい人のことも忘れ、最終的にはその人の人格をうばうこともあります。
ただ、その場をつくろうような瞬間的な応答は出来る場合が少なくありません。
脳血管性認知症の場合は、発作を経験するごとに認知症の症状が悪くなるケースがほとんどです。
症状が発作後と発作前で全く違うものとして現われることもあり注意が必要です。
認知症患者と不安感
一度認知症になると、さまざまな弊害が起こります。
そのとき、患者は認知症そのものによる弊害だけでなく、認知症によってさまざまな能力が失われたことによる二次的な問題が生じるケースが多く見られます。
たとえば、普通の人でも散歩にでかけて道に迷ってしまったら、そのときは大変な不安になるでしょう。
あるいは、自分から電話をかけたのに相手がでた瞬間に、用件をすっかり忘れてしまえば、それだけで自分自身に対する信頼は失われてしまうことでしょう。
こんな風に、当たり前のようにできていたことができなくなるだけで、自分はどうしてしまったのかと、人は不安になるものです。
また、認知症の人は、さらに症状が進んでこのままでは自分がおかしくなってしまうのではないかという強い不安にさいなまれることになります。
認知症の人は、同じことを何度も確認したり、人にたずねることがあります。
これは実際に忘れてしまっている場合もありますが、忘れないように不安に思って何度も確認している場合もあるのです。
こうして、認知症になると何事にも自信が持てなくなってきます。
そして、こうした傾向が強くなると身近な人を頼りにし自分一人では何もできなくなっていってしまうのです。
必要以上にパートナーにつきまとったり、不安が高じて異常な嫉妬を覚えることも少なくありません。
認知症と防衛反応
自宅に来たホームヘルパーに対して、「家の中を勝手にかき回す」といって認知症のお年寄りがきつく当たったり、ときにはホームヘルプサービスを拒否したりすることがあります。
ホームヘルプサービスを依頼した家族にすれば、なんとわがままなことを言うのだろうかと感じることでしょう。
認知症の人は、これまで当たり前のようにできていたことができなくなったり、家族や周囲の人から聞かれたごく簡単なことに答えられなかったりするため、大変不安を感じています。
このため、好ましくない状況に自分が立たされていると感じると、自分を守るために強い拒否反応を示すのです。
これを防衛反応といいます。
ホームヘルパーの何気ない一言が、防衛反応に結びつくこともあります。
極端な場合、「お名前は?」と聞かれただけで、「そんなものは捨てた」と驚くような反応を示す認知症の人もいるのです。
介護にあたる人は、こうした防衛反応があることを知っておき、認知症の人を安心させるように努める必要があります。
MCIとは
認知症には、その進行の度合いによって症状の程度が異なります。
認知症なのか一般のもの忘れなのか、区別できないような軽度のものは、最近ではMCIと呼ばれています。
これは、アルツハイマー型認知症の初期段階にあるもので、日常生活でよく見られるようなもの忘れだけが目立っているだけで、生活にはほとんど支障がない状態のことをいいます。
ハッキリと認知症とは呼べないものの、進行するとやっかいなのでMCIと呼んで警戒して貰おうという考えがあるようです。
その中には、単に年齢を重ねたことによって知的能力が低下しているケースもあります。
ただし、その判断は認知症予防のためには重要なので、MCIとおもわれることがあれば一度医師による診断を受けておくようにしてください。
MCIは以下のような特徴にあてはまる人のことを指します。
・急にもの忘れをするようになった
・他人に記憶障害をしてきされた
・認知機能には問題がない
・日常生活をするうえで支障はない
・まだ認知症とは診断されていない
異常のような特徴がある場合、だいたい4人に一人が4年以内に認知症になるといわれています。
さらに言語や注意力、視空間認知のいずれかに障害がある場合は、8割が認知症になるといった報告があります。
MCIに早くから気づいて予防策を講じることが重要です。
