認知症の基礎知識です。認知症についていろいろな情報を集めています。

認知症 症状

認知症とアルツハイマー病

認知症というのは、正確には病名ではありません。
認識したり、記憶したり、判断したりする知的能力が障害を受けて、社会生活に支障をきたしている状態のことを指しています。
この状態を引き起こす原因には様々なものがあり、アルツハイマー病もその一つです。
アルツハイマー病は、現在、日本で認知症を引き起こす原因のうち、もっとも多くの割合を占めています。

では、アルツハイマー病というのはどういうものなのでしょうか。
実は、このアルツハイマー病の原因は、まだはっきりとわかっていません。
アルツハイマー病になると、その症状としては、脳が萎縮することになります。
そして、最近ではアルツハイマー病患者の脳では、ベータ・アミロイドという物質が増えることが分かっています。

このベータ・アミロイドという物質は、タンパク質が異常に変化したもので、いわゆる「老人斑」というしみのようなものが脳の表面で広がる原因となります。
さらに、神経細胞に「神経原線維変化」とよばれる糸くず状の微少な組織が見つかるようになります。

一般的には、はじめの数年間は軽い記憶障害が見られます。
進行すると認知能力に支障をきたし、徐々に身体的機能も低下してくることになります。
ただし、進行の度合いには個人差があります。


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認知症と脳血管障害

認知症の多くは、アルツハイマー病によるものですが、次に多いのは、脳血管障害です。

脳血管障害による認知症というのは、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害発作によって、脳の血管が詰まったり破れたりすることで生じたものです。
脳は常に酸素や糖質を必要としているので、血液による供給が絶たれるとその部分の脳細胞は、即座に死滅していきます。
こうして、脳細胞が現象してくると認知能力にさまざまな障害が生じ、脳血管障害による認知症になるのです。

脳血管障害には、「無症候性脳梗塞」という自覚症状のないまま小さな梗塞が起こるものがあります。
したがって、本人の知らないうちに発症し認知症が現われるケースもあります。
この場合、症状が比較的なだらかに進行するアルツハイマー病とは違い、脳梗塞や脳出血などの発作をきっかけとして、段階的な進行を示します。

発症すると、まず、知的機能の障害が起こります。
また、手足のしびれやマヒ、歩行障害などの身体的な機能も低下します。
さらに、記憶障害はあっても判断力は正常であったり言語機能だけが失われるなど、脳が損傷を受けた部位によって認知症症状にムラができる場合もあります。

脳血管障害による認知症は、血管障害を引き起こす原因を解消して、発作を2度と繰り返さないようにすることが肝心です。


認知症の中核症状

認知症の症状はさまざまですが、認知症患者のすべてに現われる症状とそうでないものがあります。
認知症患者のすべてに現われる症状は「中核症状」と呼ばれています。

では、この認知症の中心となる中核症状には、どんなものがあるのでしょうか。
中核症状には「記憶障害」「見当識障害」「判断力の低下」があり、このような症状を中心にして、ここからさまざまな症状が派生してくることになります。

「記憶障害」が起こると、同じ事を何度も尋ねたり、自分で使ったものを置き忘れたり、なにをしようとしていたのか目的を忘れる、蛇口の閉め忘れやガスの消し忘れるなど様々な弊害が引き起こされます。

「見当識障害」というのは、健常者であればまず疑うことなくもっている時間や場所の自覚がなくなってしまうことを指しています。
「ここがどこなのか」「今日は何月何日なのか」といった、自分の置かれた基本的な状況を忘れてしまうといったことが挙げられます。
 
「判断力の低下」が進むと、普段はできていたはずの状況に合わせた的確な判断が難しくなります。
寒くても薄着で外出したり、真夏にセーターを着るなどおかしな行動が目立ってきます。

中核症状によって引き起こされる症状は、「周辺症状」といい、さまざまな症状が知られています。
この周辺症状には個人差があり、すべての認知症患者が同じというわけではありません。
患者さんによって、怒りっぽくなったり、不安になるなど異常な行動がそれぞれ違った形で現われることになります。


認知症の周辺症状1

周辺症状というのは、「記憶障害」「見当識障害」「判断力の低下」といった中核症状によって引き起こされる二次的な症状です。
個人差があり、認知症のすべての人にみられるものではありませんが、複数の周辺症状が現われる人も少なくありません。

周辺症状の一つとして「妄想」が挙げられます。
自分の使ったものをしまい忘れたり、置き忘れたりした場合に「誰かが盗んだ」「誰かが隠した」というように、実際には自分がやったことを他人がやったことだと思いこんでしまいます。
このような妄想は、一番身近な家族が"犯人"にされてしまうことが多く、信頼関係にもひびが入ってしまいます。
妄想は、これ以外に被害妄想、嫉妬妄想などがあります。

妄想に比較的近いものとして、「幻覚」が症状として表れることがあります。
これは正常な認知能力が失われているために、あり得ない状況を頭の中で思い描いてしまうために起こります。

認知症の人には不安がつきものですが、その不安が異常なほど高まり「不安神経症」といったノイローゼのような症状が現われることがあります。
こうなると些細なことに強い不安がともなうため、一人では外出できなくなったり家に閉じこもりがちになってしまいます。

認知症患者が、なにか一つものことに異常にのめり込み「依存」状態に陥ることもあります。
酒、ギャンブルなど形はさまざまですが、これは認知症による不安やストレスの裏返しともいえます。


認知症の周辺症状2

認知症の周辺症状には、「幻覚」「不安」「依存」など精神的なものに限らず、身体的なものもあります。

認知症患者が、夜中に家のなかを徘徊することがあるのは有名です。
なんの目的ももたずにただただ歩き回るだけなので、家の中だけであればそんなに危険はありませんが、同居人などの迷惑になることもあり、また、家の外に出てしまうことがあると危険です。
アルツハイマー型認知症患者に多く、脳血管性認知症ではそんなに多くないといわれています。

認知症になるまでは温厚だった人が、暴力をふるうようになることがあります。
いわゆる我慢が利かなくなり、ちょっとしたことでも激高し、攻撃的な行動にでてしまいます。
また、幻覚や妄想など精神的な問題から二次的に生じる場合もあります。

認知症になると、仕事もできなくなり、生活にメリハリがなくなって不眠になることも多く報告されています。
逆に夜にしっかりと眠れないため、昼間に強い眠気に襲われることも少なくありません。

脳に機能障害が生じて我慢が効かなくなると、食事面でも過食があらわれることがあります。
また、本来は食べられないようなものを口に入れたり、そのまま飲み込んでしまうなど、幼児期の子供のような行動もよくみられます。


アルツハイマー型認知症とは

アルツハイマー型認知症は、認知症と呼ばれる疾患の中でも最も多いものです。
未だにはっきりとした原因はわかっていませんが、脳内でさまざまな器質的変化がおこったことによって脳細胞が急激に減っていくことが知られています。
徐々に進行して、脳が萎縮し小さくなっていきます。
アルツハイマー型認知症とは、このような課程で高度の知的能力が失われることを指します。
最終的には人格崩壊までもたらします。

アルツハイマー型認知症にかかると、初期の段階では進行はそれほど早くありません。
多くの場合、徐々に症状がではじめて、もの忘れなどがゆっくりと進行していきます。

しかし、なんでもかんでも忘れるということはなく、アルツハイマー型認知症であっても古い記憶は比較的よく保たれています。
逆に、最近の出来事はすぐに忘れてしまう傾向にあります。
そのため、人と話していても同じことを何度も何度も聞きかえしたり、自分で使ったものを置き忘れたりすることが多くなります。
電話をかけた翌日に同じ要件で電話をしたりと、そういったこともざらに起こってきます。

また、アルツハイマー型認知症が抑うつや妄想などの心の病として発覚することもあります。


アルツハイマーの脳内

それでは、アルツハイマー型認知症患者の脳内では、何がおきているのでしょうか。
少し詳しく見ていくことにしましょう。

アルツハイマー型認知症では、老化やほかの疾患には見られない特徴的な脳の変化が観測できます。
第一に、大脳皮質に著しい萎縮がみられ、第二に老人斑や神経原線維変化、神経細胞の脱落が発覚します。
そして、脳機能を司る神経伝達物質にも異常が生じていることがわかります。

脳の萎縮については脳全体にくわえて、特に側頭葉や頭頂葉が著しく萎縮していくのが特徴です。
健常者の場合、脳の重量は1,400グラム前後あるのが普通ですが、発症後10年程度たった患者の脳は800~900グラム程度に減少してしまいます。
このことからも正常な脳と比べて、アルツハイマー患者は大脳の体積がかなり小さくなっていることがわかります。

また、アルツハイマー型認知症の脳を顕微鏡で観察すると、神経細胞間に老人斑と呼ばれるシミのようなものが発見されます。
また、神経細胞の中に神経原線維変化と呼ばれる糸くずのような物質が現われます。
この二つが増加すると、神経細胞はだんだんと減少していってしまいます。

脳は神経細胞間で神経伝達物質をやり取りして命令を伝えています。
アルツハイマー型認知症の患者の脳内では、通常の脳よりもアセチルコリンという神経伝達物質が減っていることがわかっています。
このアセチルコリンとは記憶機能にかかわる神経伝達物質であり、このことから神経伝達物質の量もアルツハイマーに関係していることが判明しています。


脳血管性認知症とは

脳血管性認知症とは、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)破れたりする(脳出血)ことによって、障害を受けた部分の脳の働きが悪くなり、そのため認知症の症状がでることをいいます。

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血によって脳機能に部分的な障害がでる場合と、脳機能が全体的に侵される場合があります。

部分的な脳の機能障害の場合、障害を受けた部分が担っていた脳機能に支障をきたします。
たとえば、言語野と呼ばれる言語を司っていた部位が脳血管障害の影響を受けると、言語障害が起こるといったように患者それぞれで違った部分的な障害が引き起こされます。

一方、脳内に大きな梗塞がある場合や小さな梗塞が数カ所にあるといった場合、あるいは脳全体の血流が低下しているときなどは、脳機能全般に支障を来します。
これは一般の認知症と同じような症状を示すことになります。

脳血管性認知症は、様々な原因で発症します。
脳卒中発作後に、突然、障害が現われることもありますし、段階上に進行し、徐々に悪化していくこともあります。
ですが、一般には発作を経験して、そのたびに悪くなっていくことが多いといえます。


脳血管性認知症の特徴

脳血管障害とは、脳の血管が詰まったり破れたりするものです。
一般に脳梗塞あるいは脳出血といわれる疾患の後遺症として認知されていますが、実際に多くの場合がそうした原因で引き起こされています。

脳血管性認知症の原因の7,8割が脳梗塞によるものです。
脳梗塞のような脳血管障害により脳のある部分の血流量や代謝量が減少すると、脳機能が麻痺してしまうためその程度や範囲によって認知症症状として表れることになります。
これらはMRI検査などで、脳の血流量を調べるとはっきりわかります。

脳血管性認知症の症状の特徴は、血流障害が生じた部位によって症状は異なります。
たとえば、めまい、しびれ、言語障害などといった部分的な知的能力の低下などが起きますが、脳機能全体に障害が起こることはまれです。
実際、記憶力の低下が強いわりには判断力や理解力などの知的能力には全く問題がないといったケースが少なくありません。
こういった認知症は「まだら認知症」と呼ばれています。
また、症状がその日毎に変化するなど、血流障害のあり様で症状はさまざまです。

脳血管性認知症は、なによりも予防が大切になってきます。
脳血管障害を一度経験すると、再発または別の場所で発症する場合が少なくなく、そうすると新たな認知症が起きたり、場合によっては発作によって命を失いかねません。
そのための予防策を講じることが重要になってきます。


その他の認知症


認知症は、アルツハイマー型認知症が最も多く、二番目に多いのは脳血管性認知症になります。
しかし、これ以外の認知症も知られています。

アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症以外の認知症の一つは、「レビー小体型認知症」と呼ばれるものです。

このレビー小体型認知症というのは、脳の後ろのほうにあるレビー小体という部位が病的な変性を引き起こすことによって発症します。
変性性認知症の中では、アルツハイマー型の次に多いもので、症状はもの忘れや幻視、歩行障害(パーキンソン症状)などがあります。

レビー小体型認知症は、症状が安定せず変動が強いことが知られています。
また、認知症に使用される薬の副作用がでやすいので注意が必要です。

一方、レビー小体型認知症の反対に脳細胞の前側に病的な変性を引き起こし発症する「前頭側頭型認知症」というものがあります。

この前頭側頭型認知症の発症は比較的まれで、アルツハイマー病よりも若年層に多く見られる認知症です。
また、もの忘れよりも人格変化が目立つといった特徴もあります。
抑制や感情のコントロールといった脳の重要な機能を司る前頭葉に障害が起こるため、自己中心的で短絡的行動、だらしない行動などが目立つようになります。
また、言語障害として現われることもあります。



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